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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

扇情的な紫乃の姿を想像してしまう。
片桐さんに躯を開くその姿を――…。

身代わりで抱かれた紫乃が可愛そう過ぎて。
紫乃の処女がそんな思いで散らされたのかと思うと悔しくて。

片桐さんを思いっきり睨みつけながら、俺は…。


『亜子さん』
片桐さんの心に住むその女性の名前。

紫乃が彼女の身代わりでは無いのかと。
思わずその名を片桐さんに向かって叫んでいた。


「……紫乃は亜子じゃないって、なんだよ、それ。
どういう意味だよ真、答えろ」


さっきまでの片桐さんがなりをひそめて。
俺に向かって低い声で威嚇するような態度に変わった。

片桐さんのその態度が既に亜子さんの身代わりだと証明しているようなものなのに。
片桐さん…『紫乃を奪う』そう宣言した時より、『亜子さんの身代わり』じゃないかと言った俺の言葉に気持ちがぐらついているんじゃないのか。


片桐さんのその態度に、俺は少しだけ冷静になる。


紫乃を奪うと決めた時点で、アイツが片桐さんに抱かれていても関係ないとそう決めたのだ。正直気にはなるけれど、俺が…上書きしてやるんだ。


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