この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

その時、片桐さんのスマホが鳴り、俺は後に続けようとしたその言葉を思わず飲み込む。
片桐さんからは納得出来る言葉を聞くことが出来ないまま。
もし片桐さんの口から――。
直接紫乃への気持ちを聞くことが出来たなら…。
亜子さんの身代わりではなく、紫乃が自身が好きなんだと言うことを俺に…。
―――いや、それを証明する俺にではない
片桐さん自身が本当にそう紫乃に対して想っているかが大事なことで。
それに向き合うことが片桐さんの、いや亜子さんの為で。
紫乃のことだから、これから亜子さんのこと…片桐さんの過去を知ったなら、そのことで悩むに違いないのだ。
―――全ては紫乃の為…ひいては俺自身の為だ
だから、片桐さんに前に進んで欲しい。
片桐さんが前に進むことは、俺に片桐さんの秘密を話してくれた熊さんの真意だと思うのだ。

