この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「真、俺、紫乃を連れて、もう帰るから」
「どういうことですか?車は俺が出した筈だ」
電話の相手と片桐さんは短い返事のやり取りの後、いきなり帰ると言い出した。
このWデートで、俺は紫乃への告白を決意していた。
誘ったのは此方からだし、俺の方が後輩だということもある。
でも一番の理由は―――
俺が紫乃と接触するチャンスを邪魔してきた桐さんに、もしかして妨害されるかもしれない。
片桐さんの車で来ていたら、俺のその気持ちを紫乃に伝えることが叶わない無いまま紫乃を連れ去られてしまうかもしれなかったから。
それを見越して俺が車を出したのだ。
ここは、車が、無いと何処へも行けない田舎だから、足を確保しておくことは重要なことで。
逃げ道を塞いだ筈なのに…なんでそう言う話になったのか。

