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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「ボーリングが終了した段階でお前からの誘いの約束は果たしたじゃないか。
せっかくの非番だ。どうせなら、彼女と二人でいたいのは当たり前だろう?
俺は、紫乃がボーリンクをやりたいと言ったから、行くと返事をしたまでなんだよ。
…さっき、今日こっちに用事で来ている筈の兄貴に連絡しておいたんだ。今ここに向かってる」
―――ここで、このチャンスを逃したら
「片桐さん、逃げるのか。
貴方は自分の本当の気持ちから目を背けたままで、本当にそれでいいんですか。
お願いだから、それに紫乃を巻き込むな」
紫乃を連れて帰ると言う片桐さんに対して、思わず大きな声がでてしまう。
「真くん?大きな声を出してどうしたの?」
紫乃と里奈ちゃんが戻ってきていた。
片桐さんに対し大きな声を出してしまった俺に対し、心配そうな顔で見つめながら、手にした缶コーヒーを俺に手渡した。俺は紫乃のその手を―――
「片桐さんがもう帰るっていうんだ。お前を連れて。…紫乃、お前帰りたいか?」
「…帰るってどういう…?何で?」
紫乃の手を俺は思わす掴んでしまっていた。そして、紫乃に視線を合わせて聞いたんだ。
「帰りたいか、残りたいか。紫乃、お前が決めろ」

