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アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

「あっという間だったよ。
人の命は。その運命は分からないものだ。
半年だ。
発病してから半年。
入院してからは面会謝絶で会わせて貰うことはかなわなかったし、亜子もそれを望まなかった。
人助けがしたくてこの仕事に就いた俺だけど、俺は医者じゃない。病気に対して無力な自分に嫌気がさしたさ。
訳もわからず、気が狂いそうで、
死んだと言われても実感なんか湧かなかった。
俺の名前を呼ぶ亜子が、ついこの間まで当たり前にそこにいたのに。
それが、もういないだなんて。――嘘だ。
豊さん!そう呼ぶ亜子の声が、今にも聞こえてきそうな気がした。
俺の中の亜子―――。
最後にあったあいつはこの写真の青いワンピースを着て微笑んでいるままなんだよ。
アイツは俺を残したまま、
……一人で勝手に死んでしまった!!」

