この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

片桐さんは―――。
まだ亜子さんのその死をきちんと受け入れていないんだ。
だから自分を残して逝ってしまった亜子さんに対して怒っている。
亡くなった事実は解っているのに…心がそれを認められずに苦しんでいるんだ。
それは、それだけ亜子さんに対する気持ちが深かったということで――…。
「亜子が死んで。初七日に、俺のアパート手紙が届いたんだ。
“すぐに生まれ変わって貴方のもとに飛んでいくから。だから、忘れないで―――。”
久しぶりの亜子の字だった。
その手紙に亜子の体温を感じたような気がしたよ。
忘れるもんか!忘れてたまるか!
毎日。俺は亜子のその面影を捜した。
何か俺だけに解るようなメッセージが残ってやしないかと。
幽霊でもなんでもいい。
亜子に会いたかった。その存在を感じたかったんだ。
―――でも、時間というのは、優しくて。……そして残酷だ。」

