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アンバランスなsweet
第24章 火事の現場で

片桐さんの真剣な表情と、その緊迫した雰囲気に圧倒されて、私は知りたい気持ちをすぐには口に出せずに。
結局、その火事の場所は何処だと聞けずじまいで、そのまま別れて戻って来てしまったのだ。
見たこと無いぐらい勢いのある、もくもくと不気味に真っ黒い煙に、なんだか不吉な感じがして、私の心をざわつかた。
―――外がうるさい。
さっきから地区の消防団のポンプ車を走らせるサイレンの音が響いて、いつもとは違う不穏な空気が窓の外に流れている。
「もしもし、里奈ちゃん、紫乃だけど―――」
いてもたってもいられずに、里奈ちゃんに電話を掛けてみる。
片桐さんに出動命令が出たなら、真くんにも出ているはずだ。
海で別れた私達だった。
里奈ちゃんは、真くんと一緒に帰って来ているはずで、もしかしたら火事の場所を知ってるかもしれなかった。

