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アンバランスなsweet
第25章 繋がる気持ち

「……悪いな、紫乃。送らせて。
お前、運転上手いじゃん。運転好きなんだ?」

「ううん。
ただ真くんの車は、従兄弟のお兄ちゃんと一緒だから。
初心者マークの時、お兄ちゃんに良く練習に付き合って貰ってて。だからこの車種に……少し慣れてるだけだよ。」


―――早く、言わないと着いちまう。


診療所から消防署までは車だとすぐの距離だった。
他愛の無い話なら、直ぐに口に出来るくせに。
俺は…大事な一言をなかなか口には出せずにいる。

目の前の十字路を右折すれば、消防署の方に向かうその分岐の信号が見えてくる。

そのわかれ道の信号が赤になり、紫乃がブレーキを踏んだ。


「紫乃、あのさ――。」

「…うん」


信号待ちの間、カッチ、カッチと音を立てる右折のウインカー。
その単調なリズムに合わせて矢印マークが光っているのが見える。


「このまま、曲がらずに真っすぐ行けよ。」

「…えっ!でも…。」



―――このまま、まっすぐに戻りたくない。


単調で規則的なウインカーの音に、焦燥感が駆り立てられ、俺は思わずそう口にしていた。



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