この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第25章 繋がる気持ち

雨が打ち付けるフロントガラスの方に視線をさ迷わせながら、次の言葉を懸命に探している紫乃。
自分の言葉で何かを伝えようとしているその姿に、俺は――。
ちゃんと、その話を聞いてやらないといけないような気がして。
静かに見守ることしか出来なかった。
「でも、身代わりだって知った時―――ちょっとホッとした自分がいたの。
だって、片桐さんに告白されて、私が片桐さんのその手をとった理由は、片桐さんが好き――その理由じゃ無かったんだもの。」
最初の言葉から少しの間が開いて。
寂しそうな様子から、意を決したかの様に急いた口調でそこまで言葉を吐き出すと、紫乃は下を向いてしまう。
その背中を丸めた躰が小さくなる。
―――片桐さんが好きじゃない?
なら、何で、何でお前は片桐さんと付き合うことにしたんだ?
自分を好きになってくれる男なら、誰でも良かったのか?
そんな風に小さくなるような恋ならやめちまえ。
なら―――俺の手を、選べよ。

