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アンバランスなsweet
第8章 ドキドキのスキー‥
「熊さーん!」



熊さんとリフトに並んで、勝手にドキドキしていた‥その乙女な時間をぶち壊すかの様な声がする。
もう私には時間が残されていないのに。神様は意地悪だ。



手を振りながら、私と熊さんが並んでるところに近付いて来る男女は、エッジを利かせ、ザザッと私達の側で止まる。
その姿は絵になる二人で‥リフトに乗るのさえおぼつかない私には羨ましいとしか言いようが無い。




「疲れたー!今降りて来たところなの。もうすぐお昼だし、休もうかなって。

紫乃ちゃんはどう?楽しんでる?」




小柄で可愛らしい里花さん。
でも、颯爽と滑り降りて来てゴーグルを外す姿は可愛らしいというよりは格好いい。




「里花、休んじゃうの?もう1本行こうぜ?

紫乃ちゃんはこれから初リフトにチャレンジだよ。

リフトに乗れた後は好きな様に楽しんで滑ればイイなって思ってるんだけどね。」




里花さんの話に熊さんが答えている。

私に向けられていた大人な雰囲気とはあきらかに違う熊さんの口調。
里花さんに向かって満面の笑みを浮かべている。



しっかり者の里花さんの前だと少し甘えん坊になる熊さん。

さっきまで私に向けられていた気持ちとは比べ物にならないぐらいの愛情に満ちた様子に悲しくなる。





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