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煮詰めたシチュー
第2章 雑記 ジブンのカタチ
峠の途中で、私の前に現れた得体の知れない綿菓子は雲海の一部だったのです。
そして私は無謀にもこの雲海を抜けてきたのでした。
生まれて初めて見た光景に、私は驚きのあまり一気に血が流れ、鼓動が両肩までも震わせました。しばらく声を出すこともできず、息苦しくなりました。
眼前の大きなカンバスの中で、自分は筆先から伝い落ちた絵の具の一滴にもならない。
なのにこれだけ巨大なものが自分の視界に収まっている。
不条理ともいえる私と雲海の関係。そこに何か畏れのようなものを感じ、感動を越えた無力感に苛まれ、止め処なく涙がこぼれました。