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奴隷からのはじまり。
第2章 に、ねぇもっとシようよ。
「奴隷に」と言ったけれど、学校での二人の、表向きの関係が大きく変化したわけではない。クラスメイトたちの前で、愛乃は今までどおり、控えめで美しいお嬢様であり続けた。
「くうちゃん、せっかくのお弁当なのに、食べないの? おいしいよ、卵焼き」
 中庭のベンチで、いつものように、並んで昼食をとるとき、箸の進まない様子の玖路香を、愛乃が気遣っている。
 その優しい表情を遠巻きに眺める、愛乃に憧れる者たちの目には、この光景の裏側など想像もつかないのだった。
 肌を青白くして、汗を浮かべて首を緩く振る玖路香の脚の間には今、愛乃の細い手首ほどのバイブがささっている。よくここまで入るようになったものだ。愛乃のサディズムと、玖路香の従順が成し得たものに違いないが。
「いら、な、い……」
 密かに振動しているバイブに内側を攻められ、食欲などとうになくしている玖路香は、潤む瞳から涙をこぼして首を振る。
「だめだよ、くうちゃん。朝もちゃんと食べてないのに、ほら、少しだけでも」
 優しく清らかに、悪魔の微笑を浮かべた愛乃は、玖路香の口唇を開かせて、箸の上の一口をさしこんだ。
 なんとか租借し嚥下したところで、他の者からは見えないように器用に、バイブの位置を変えられ、振動を強くされる。内側から、下のほうにある胃が突き上げられ、玖路香は嘔吐の衝動に駆られた。
「うぐっ、ぇ……っ」
「大丈夫っ? くうちゃん」
 愛乃は、玖路香が吐き出したものを、わざわざ手で受け止める。二人の様子を見ていたクラスメイトやべつの学年の者たちの間に、ざわめきが広がった。みな、玖路香をねたみ、愛乃に焦がれる者たちだ。
「はっ……はぁっ」
「いいんだよ、くうちゃん。調子悪いときだってあるんだから。無理に食べさせてごめん、トイレ行こ」
 愛乃はそっと玖路香の背を叩いて、彼女を立たせる。
「わたしの手に吐いたやつ、もっかい食べてもらうから」
 自分にだけ聞こえるように耳元でささやかれた声に、玖路香は改めてぞっとした。
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