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Withdrawal Symptoms
第3章 突然の……
どうすれば良いのか分からずおどおどとしていた時、"よお"と低いバリトンの声が頭上から響いた。見上げると、そこには少し紅潮した彼の整った顏があった。それを見てどくん、と心臓が脈打つのが分かった。
「部活帰りぃ? お疲れ様」
そう言い俊哉を上目遣いで見上げる麻実。俊哉はそれに対し、"うん"と小さく返事をした。俊哉は何か言いたげに頭を掻くと、私を見た。一瞬、彼から石鹸の様な、良い香りがした。
「あのさ、話、あるんだけど」
「「話?」」
私と彼女の声がほぼ同時にハモッた。
「いや、ごめん。……美香。お前に話がある」
俊哉は真剣な眼差しを私に向けた。麻実はそれを聞くと、分かりやすく溜息を吐いた。


話……?


その言葉に暫く放心していると、彼は舌打ちをし私の腕を掴んだ。それを見た麻実は、眉間を寄せた。麻実の強い視線を痛い程感じる。
「ちょっと、急に何? 話って。俊哉にはあるのかもしれないけど、私には……もう、ないから……だから離して」
俊哉から視線を逸らしそう告げる。

けれど、彼が私の腕を離すことはなかった。
一度はこの腕に抱かれたいと思った。
だけどもう、私にはそう思う資格なんてないの。

だからーー

けれど俊哉は麻実に、"悪い。ちょっとこいつ借りるわ"と言い私をひと気の少ない路地へと引っ張った。
「ちょっと!離してよ! 麻実、ごめん! 先帰っててええ」
だが麻実は私の声なんて聞こえていないといった様子でくるりと背を向けるとスタスタと歩いて行ってしまった。……ごめん、麻実。

暫く歩くと、公園のある住宅地へと着いた。

(ん? て、ここ。私の家の近くじゃん!!)
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