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Withdrawal Symptoms
第4章 地獄の幕開け
***
髪を乾かしパジャマに着替えると私は二階に上がった。階段がまるで今から○を待つ死刑囚の心情の様に、長く、……重く感じられた。
パジャマは多少脱がせづらいボタン付きにした。
そして手には一応、勉強道具がある。
彼の善意を願うのと、母達に怪しまれないため、だ。
彼の部屋のドアを二、三回ノックすると”入れ"と言う低い声がした。
私はその声を聞きビクリ、とした。
(機嫌、かなり悪そう)
はあ、と溜息を吐きドアノブに手を掛ける。
その途端、ガチャリと言う音と共に、彼がドアの隙間から顔を出した。
少し寝ていたのか、目がとろんとして眠そうだ。
だが私を目にした瞬間、彼の目付きが明らかに変わった。
何故だ。
寝起きだから機嫌が悪いのか、そうか……と私は妙に納得し、部屋に入った。
綺麗に整頓されたその部屋は、彼らしい。
ただ私が昔あげたぬいぐるみが窓際に飾ってあるのを見て少し意外だと思った。
あれ以来、私がお兄ちゃんに何かをあげた事はない。
「40分」
お兄ちゃんが私を見てそう言った。
机には勉強していたのか若干の消しカスが残されていた。
「え?」
意味が分からずそう言うと、彼がイラついた様にもう一度言った。
その声には苛立ちと怒りが感じられた。
「お前がここに来るまでかかった時間」
"それと"お兄ちゃんはそう付け加え、シャープな顎に手を掛けた。
「15分」
「な、何それ……」
嫌な予感。
私の背中には汗が伝った。
お兄ちゃんは立ち上がるとニッと口角を上げた。
「"お前ら"がキスしてた時間。それも濃厚なでぃーぷ」
彼が自身の下唇を人差し指で撫でる様に触った瞬間、
私の視界は反転した。
私の身体はお兄ちゃんのベッドに押し倒された。
その拍子に持っていた教科書がバサリと床に落ちた。