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Withdrawal Symptoms
第2章 秘密の関係
悩まし気な表情を終始浮かべる彼女の横顔を見て、溜息が漏れた。すると暫く黙って廊下を歩いていた彼女が意を決した様に口を開いた。
「あのさ」
その顔が余りにも真剣だった為、私は思わず唾を飲んだ。
「何? てかどうしたの麻実、何か変だよ」
私は焦る気持ちを誤魔化したかった。麻実に見つめられ、思わず視線を逸らす。
「……私は何時もと同じだよ、……美香(みか)にこんな事訊くのどうかと思うんだけどさ」
「えっ何?」
麻実は一息吐くと言った。内心、私の心臓はバクバクで、何を告げられるのかとヒヤヒヤしてた。
「その……俊哉クンの事なんだけど」
麻実は彼の名前を口にすると急に下を向きもじもじし始めた。麻実が異性の名前なんかをこんな風に、遠慮がちに口にしたのは初めてだった。だから私は驚いた。……だって、麻実は超モテるから。まあ理由は言うまでもないけど……。
「俊哉? 俊哉がどうかしたの?」
私はその先が早く知りたくて、気付いたら早口になっていた。口調も問い質す様なものへと変わる。
「美香はさあ、……もう何とも思ってないの?」
"彼のこと"そう付け加え私を見上げる。

それは私に言っているのか、と判断するのに数秒かかった。
「……」
“何とも思ってない”そう言えば、嘘になる。だけどこの状況的に否定をする訳には……いかない。いかないでしょ。
「うん。だって、私達別れたんだもん。今更だよ、……もしそんな事彼に対し、……思ってたって」
私は自分に言い聞かせる様に、そう言った。すると彼女は満足したかの様に口の端を上げた。彼女の顔にはいつもの笑顔が戻っていた。
「そっか、何か変な事訊いてごめんね〜」
その彼女の笑顔には何か他に……意味深いものがある気がした。けれどそれ以上、私は彼女から何かを訊こうとは思わなかった。
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