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泡のように
第17章 16.
「それと訂正したいことがあるの。山岸のおっさんのことだけど、あれは私が誘ったんじゃない。あいつからしてきた。14歳の時だよ。私が寝てたら忍び込んできて、お母さんには内緒だって言ってヤッてきた。まだピルも飲んでなかったのに中出しされて・・・でもお父さんが死んでから苦労ばっかだったお母さんがせっかく好きな人と再婚して幸せになったとこだって思って、我慢してたんだよ。そういうワケなの。私が誘惑したなんて、誤解しないで。お母さんの好きな人に対してこんなこと言うのは申し訳ないけど、山岸さんなんかにスキコノンデ抱かれたいなんて絶対思わない。あいつが私の股を舐めた時ね、マジで吐きそうだった。よっぽど頭の上に吐いてやろうかって思ったくらい」

 お母さんは何も答えず、黙って俯いている。

「この際だから本当のことを言うけど、私、10歳の時からお兄ちゃんとセックスしてる。でもそれよりも前からお兄ちゃんは私に色々イタズラしてた。舐めさせられたりとか、触らされたりとか・・・幼稚園くらいからじゃないかな。ねぇ、幼稚園くらいの子供がさ、お兄ちゃんを誘惑出来る術を知ってると思う?お母さんの予想通り、ピルを飲み始めたのはお兄ちゃんとセックスしてたからだけど。おっさんの子供を妊娠したくなかったってのもあるし。ね?別に私、生まれながらの淫乱ってわけじゃないでしょ?」

 病室は声がよく反響する。
 周りの患者さんはきっと、私たちのことをトンデモナイ家族だと思っているだろう。
 でも事実その通りなんだから仕方がない。 

「ちゃんと謝ってよ」

 お母さんの目は、この前みたいにウサギになっている。
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