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泡のように
第22章 21.
レイナは当たり前のようにお兄ちゃんに優しく微笑みながら、モップ犬になりつつあるお兄ちゃんの長い巻き毛を両手で撫でていた。
「そんなこと思うはずないでしょ。それより、髪、切ったら?」
レイナの言葉に、アキホは相変わらず高笑いしながら2人を見つめていた。
「変なところだけはパパに遺伝するのよ。パパも散髪が嫌いだから。このくせっ毛も、アキホは直毛なのに篤志にだけ似ちゃって。それにこの、Tシャツよ。お金がないわけじゃないんでしょう?新しいの買いなさいよ。穴があいてる」
肩のあたりを指でつつかれたお兄ちゃんは、ヒャッと飛び上がった。
それを見て笑うレイナは、見た目はさておいても、優しい眼差しだけは確かに、母親のそれであった。
「こういうズボラなところまで、パパにそっくりなのよ。どうしてなのかしら。一緒に暮らしたこともないのにね」
レイナはオドオドしているお兄ちゃんの額にチュッと音を立ててキスをしてから、今度は私に笑顔を向けた。
「ずっと前から智恵子ちゃんに聞いてみたかったの。篤志って昔からこんなにシャイな子なの?」
「えっ」
「この子、昔からこんな感じで、あまり人と目を合わせて話せないの?」
「そんなこと思うはずないでしょ。それより、髪、切ったら?」
レイナの言葉に、アキホは相変わらず高笑いしながら2人を見つめていた。
「変なところだけはパパに遺伝するのよ。パパも散髪が嫌いだから。このくせっ毛も、アキホは直毛なのに篤志にだけ似ちゃって。それにこの、Tシャツよ。お金がないわけじゃないんでしょう?新しいの買いなさいよ。穴があいてる」
肩のあたりを指でつつかれたお兄ちゃんは、ヒャッと飛び上がった。
それを見て笑うレイナは、見た目はさておいても、優しい眼差しだけは確かに、母親のそれであった。
「こういうズボラなところまで、パパにそっくりなのよ。どうしてなのかしら。一緒に暮らしたこともないのにね」
レイナはオドオドしているお兄ちゃんの額にチュッと音を立ててキスをしてから、今度は私に笑顔を向けた。
「ずっと前から智恵子ちゃんに聞いてみたかったの。篤志って昔からこんなにシャイな子なの?」
「えっ」
「この子、昔からこんな感じで、あまり人と目を合わせて話せないの?」