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泡のように
第22章 21.
 小さい頃からの記憶が走馬灯のように駆け抜ける。
 額にキスされたせいでドギマギしているお兄ちゃんを横目に、私はひとまず首をこくん、と下げた。

「まぁ・・・そうですね、基本的には、そうかも知れません」
「やだ、やっぱりそうなんだ。そういうところも、若い頃のパパにそっくり」

 困った素振りに見せかけて、嬉しそうに笑うレイナの顔。
 彫りの深い、日本人より濃い肌色の、横顔。

「どうしてお兄ちゃんを養子に出したんですか」

 鳶色の瞳が4つと、黒い瞳が2つ。
 揃いも揃って、唖然と見開いている、ぱっちり二重の集団。
 ハーフ顔で、見た目だけは悪くない、親子の、それ。

「智恵子」

 空気を読めてなかったと気付いたのは、お兄ちゃんが私の名を呼んで咎めたあとだった。

「あ・・・ごめんなさい」

 シュンと背を丸め、俯く。
 しかし反省する私に対し、レイナの声は意外と明るかった。

「あれ?篤志、智恵子ちゃんには話してなかったの?やだなーもう、肝心なことを言い忘れるのもパパそっくり」
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