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泡のように
第22章 21.
正直言って、自分から尋ねたくせに、これ以上聞いていいのか、分からなかった。
お兄ちゃんの不憫極まりない生い立ちを、お兄ちゃん本人の前で、妹である私が聞きたいと望んで、実の母親に語らせていいものなのかと。
しかし、レイナは何の迷いも、お兄ちゃんへの考慮もなく、淡々と話を続ける。
「中学を出てすぐ、テレアポの仕事に就けたから、約束通り篤志を迎えに行ったのよ?そうしたら、とっくに養子縁組したから、あんたはもう母親じゃないから、帰ってくれって、鈴木先生に言われたの。びっくりしちゃった。だってわたしは、篤志があんまりにも可愛いから乳児院に預けるくらいなら私たちに預けてくれって、どうしてもって、鈴木先生に何度も頼まれたから篤志を預けただけで、篤志をあげるなんて一言も言ってなかったんだもの」
レイナの話に、お兄ちゃんとアキホはずっと黙っていた。
「父親を問いただしたら、鈴木先生がね、わたしの知らないところでわたしの父親にね?お金を出すから篤志をどうしても養子にくれって言ったって。金は持ってるくせにケチな父親だったからね。どうせ八田先生たちに預けてなかったら乳児院に預けるしかない子供だったんだから、1円でも金になるなら養子にやったほうがいいだろって。だから養子にやったって。ひどいでしょ?ふふふ」
お兄ちゃんの不憫極まりない生い立ちを、お兄ちゃん本人の前で、妹である私が聞きたいと望んで、実の母親に語らせていいものなのかと。
しかし、レイナは何の迷いも、お兄ちゃんへの考慮もなく、淡々と話を続ける。
「中学を出てすぐ、テレアポの仕事に就けたから、約束通り篤志を迎えに行ったのよ?そうしたら、とっくに養子縁組したから、あんたはもう母親じゃないから、帰ってくれって、鈴木先生に言われたの。びっくりしちゃった。だってわたしは、篤志があんまりにも可愛いから乳児院に預けるくらいなら私たちに預けてくれって、どうしてもって、鈴木先生に何度も頼まれたから篤志を預けただけで、篤志をあげるなんて一言も言ってなかったんだもの」
レイナの話に、お兄ちゃんとアキホはずっと黙っていた。
「父親を問いただしたら、鈴木先生がね、わたしの知らないところでわたしの父親にね?お金を出すから篤志をどうしても養子にくれって言ったって。金は持ってるくせにケチな父親だったからね。どうせ八田先生たちに預けてなかったら乳児院に預けるしかない子供だったんだから、1円でも金になるなら養子にやったほうがいいだろって。だから養子にやったって。ひどいでしょ?ふふふ」