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泡のように
第22章 21.
 ぴかぴかに磨かれた白い床に、白いレースカーテンから差し込む日差しがきらきらと反射している。
 レイナはその陰に視線を置いて、ずっと顔に笑みを浮かべていた。

「学校まで八田先生に会いに行ったこともあったのよ。でも、八田先生は、会ってくれなかった。その頃アキホが出来て、今度はわたしもテレアポの仕事と、それから年齢をごまかして夜の仕事を始めていてある程度稼げてたから、パパと2人で家を出て一緒に暮らしだしたのよ。アキホが生まれても、篤志のことは諦められなかった。何度も会いに行ったのよ?こう見えてわりと執念深いでしょ?わたしって。でもねー、ある時に鈴木先生にこれ以上付き纏うなら警察に言うって言われて。ちゃんと養子縁組して、篤志はウチの子供になったんだから、篤志のためにも関わらないでくれって。子供の父親が誰かすら分からない売女に育てられるなんて、あんまりにも篤志が不憫だって」

 そんなのってあると思う?
 なんて私に問いかけながら、レイナは顔をくしゃっと歪めて笑った。

「あんまりにも悔しかったから、鈴木先生にだけは正直に話したのよ。篤志は、わたしよりひとつ年上の、兄との間にできた子供です、って。でなきゃ心外よ。売女なんて言われて。わたしね、生まれてから1度だって、篤志のパパ以外の人と関係を持ったことなんかなかったんだから」

 
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