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泡のように
第22章 21.
お兄ちゃんは自分の話だというのに、まるで聞こえていないかのような素振りで、両手を頭の後ろで組んで黙って何もない天井を見上げていた。
アキホも同じように、何もない天井を見上げていた。
「鈴木先生は怒ってた。人間のクズだって言われて叩かれて追い返されて、次に家を訪ねた時には空家になってた。引っ越しちゃったんだって気付いたとき、わたしすごく泣いたのよ。こんなことになるなら、篤志を八田先生たちに預けたりなんかしないで、それこそ売女にでもなって、金を稼いで自分で育てればよかったって」
そこまで話して、レイナはコロコロをカーペットの上に置き、テーブルの上のグラスに手を伸ばした。
ピンク色の半透明の液体がレイナの口から体内に流れていく。
半分ほど飲み干したところで、レイナは再び口を開いた。
「篤志のことを考えない日なんて1日だってなかった。どうしたら篤志を取り返せるか、そればっかり考えてたわ。そうしたらね、篤志が7歳になるって誕生日の頃にね、八田先生から電話が入ったのよ。篤志が本当のお母さんに会いたがっているから、1度会ってやって欲しいって。あの時は嬉しかったわー」
アキホも同じように、何もない天井を見上げていた。
「鈴木先生は怒ってた。人間のクズだって言われて叩かれて追い返されて、次に家を訪ねた時には空家になってた。引っ越しちゃったんだって気付いたとき、わたしすごく泣いたのよ。こんなことになるなら、篤志を八田先生たちに預けたりなんかしないで、それこそ売女にでもなって、金を稼いで自分で育てればよかったって」
そこまで話して、レイナはコロコロをカーペットの上に置き、テーブルの上のグラスに手を伸ばした。
ピンク色の半透明の液体がレイナの口から体内に流れていく。
半分ほど飲み干したところで、レイナは再び口を開いた。
「篤志のことを考えない日なんて1日だってなかった。どうしたら篤志を取り返せるか、そればっかり考えてたわ。そうしたらね、篤志が7歳になるって誕生日の頃にね、八田先生から電話が入ったのよ。篤志が本当のお母さんに会いたがっているから、1度会ってやって欲しいって。あの時は嬉しかったわー」