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泡のように
第23章 22.
 車内はアキホのせいで煙草臭かった。

「なんか今日はいろいろ、疲れちゃった」

 開け放した窓から生ぬるい風が車内に吹き込んで、私の髪をブォブォとなびかせる。
 最も、風に髪がなびいているのはモップ犬状態のお兄ちゃんも同じだったけれど。

「ねぇ、どうしてパパさんに会っていかなかったの?私ちょっと会ってみたかったのにな」
 
 プラチナの指輪はオレンジ色の夕日に当たって、呆れるくらいきらきらと光を放っていた。
 
「ねぇ、いつからレイナさんたちと会えるようになったの?私と付き合ってた頃にはもう会ってたの?」

 お兄ちゃんはレイナの言うとおり、何も気持ちを話そうとしない。
 きっと返答など得られないのだと分かっているから、だから、次々に質問を投げかける。

「ねぇ、お母さんは私たちを騙していたってことになるのかな?何度も会いに来てたのに1度しか会いにこないって言ったりさ。ていうか、パパさんってレイナさんの1コ上でしょ?それで試合がどうのってことは、レイナさんに食わしてもらってたってことなのかな?アキホさんも生まれてたのに?謎だよねー。兄妹ってのも、私たちと同じように血が繋がってなかったのかな?それとも、実の兄妹だったのかな?ちゃんと聞いておけばよかったな。あ、あとさぁ、アキホさんは私たちのこと知ってるんだね。どうしてアキホさんは知ってるの?ねぇ、お兄ちゃん」

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