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泡のように
第25章 24.
 どんな状況下でも変態を貫いてきた先生だったけど、さすがにこの状況下では興奮したりしないらしく、ある意味プラトニックに、そして引き気味に、私の身体を抱き締めてくれた。

「兄貴に抱かれるのだって、今まで何回かあったじゃねぇか。俺と別れなくたって、好きなように兄貴と続けたらいいだろ?」

 首をぶんぶん振って、ついでに顔を先生の厚い胸板にすり寄せる。

「どう違うんだよ・・・意味分かんねぇよ」

 答えたいけれど、嗚咽が止まらなくて、何も言えない。
 先生の鼓動は、いつもよりもうんと早く、それこそアメフトとかラグビーの選手がボールを抱えてコート内を全力疾走してるレベルで、大きくからだじゅうに鳴り響いていた。

「なぁ山岸、前にも言ったろ?俺はお前のことが好きだって。手放したくないって。兄貴のことだって俺、お前に譲歩したつもりだったんだぜ?前の嫁のときには思えなかったのによ、お前には思えたんだ。他に男がいてもいいってさ。それってつまりな・・・あーあ、お前バカだから分かんねぇよな。言わなきゃ分かんねぇよな。ハッキリ言ってやるよ。俺のがお前に惚れてるから、お前がどんな女だってな、そっくりまるごとな、お前が今くるまってるタオルケットみたいにな、お前をぜんぶ包んでな、愛してやるって言ったんだよ。そりゃ俺だって欲にまみれた汚ねぇ大人だし、お前が兄貴に抱かれてどうのとか聞けば興奮だってするよ。でも、俺のが、お前がいなきゃ、やっていけないって思うくらい、お前に惚れてんだよ。分かるか?お前バカだから分かんねぇかな」

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