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泡のように
第26章 25.
店内は狭くて、それこそ、先生と私がセックスした学校の多目的トイレくらいのスペースしかなかった。
私がアキホにシャンプーしてもらってるあいだ、店内にはアキホの笑い声が絶えず響いていた。
途中2階から客を見送るために下りてきたアキホの旦那が、見送るなり入口のドアを入ってすぐのところに置かれた黒いパイプ椅子に座って、先ほど客から聞いたらしい2人にとって面白い話を、アキホに聞かせていたからだ。
タトゥスタジオをやってるなんて言うからどんな人なんだろうと心配していたけれど、アキホの旦那はごく普通の人だった。
黒髪のロン毛を後ろでお団子にして、両耳にいっぱい重たそうなピアスをつけていて、そして、顔以外の露出された肌すべてにタトゥが入ってるってところ以外は、ほんとに、ごく普通の。
「えー、バッサリいっちゃうの?なんで?」
アキホの旦那は組んだ脚をぶらぶら揺らしながら、白いタオルをインド人みたいに巻かれて席に移動する私を目で追いながら尋ねてきた。
「シャンプー代の節約だってさ」
私の代わりにアキホがぶっきらぼうに答えてターバンを外すと、腰につけたシザーケースから櫛を取り出して私の髪を梳かし始めた。
アキホの旦那がそれを可笑しそうに見つめているのが、鏡越しに見える。
「ほぉ。なるほど。君は間違いなく、あっくんの妹だね」
アキホの旦那がお兄ちゃんのことを「あっくん」などと呼ぶのは、彼が今年29歳になる義兄だから、という自覚があるからなのか、単純に馴れ馴れしいだけなのか、真意は不明だが、とにかくお兄ちゃんとアキホの旦那の間にもまた面識があるという事実だけは理解出来た。
「もったいないねぇ。これエクステにできないの?」
「できるならしたいくらいだね」
「これとっといてさぁ、そういう趣味のやつに売れば高く売れるんじゃねぇの?」
「それいいねぇ」
なんて勝手なことを2人は言って、そのたびに勝手に2人で笑って、そうこうしているうちに、首の後ろで「ジャキッ」とハサミの音が鳴った。
私がアキホにシャンプーしてもらってるあいだ、店内にはアキホの笑い声が絶えず響いていた。
途中2階から客を見送るために下りてきたアキホの旦那が、見送るなり入口のドアを入ってすぐのところに置かれた黒いパイプ椅子に座って、先ほど客から聞いたらしい2人にとって面白い話を、アキホに聞かせていたからだ。
タトゥスタジオをやってるなんて言うからどんな人なんだろうと心配していたけれど、アキホの旦那はごく普通の人だった。
黒髪のロン毛を後ろでお団子にして、両耳にいっぱい重たそうなピアスをつけていて、そして、顔以外の露出された肌すべてにタトゥが入ってるってところ以外は、ほんとに、ごく普通の。
「えー、バッサリいっちゃうの?なんで?」
アキホの旦那は組んだ脚をぶらぶら揺らしながら、白いタオルをインド人みたいに巻かれて席に移動する私を目で追いながら尋ねてきた。
「シャンプー代の節約だってさ」
私の代わりにアキホがぶっきらぼうに答えてターバンを外すと、腰につけたシザーケースから櫛を取り出して私の髪を梳かし始めた。
アキホの旦那がそれを可笑しそうに見つめているのが、鏡越しに見える。
「ほぉ。なるほど。君は間違いなく、あっくんの妹だね」
アキホの旦那がお兄ちゃんのことを「あっくん」などと呼ぶのは、彼が今年29歳になる義兄だから、という自覚があるからなのか、単純に馴れ馴れしいだけなのか、真意は不明だが、とにかくお兄ちゃんとアキホの旦那の間にもまた面識があるという事実だけは理解出来た。
「もったいないねぇ。これエクステにできないの?」
「できるならしたいくらいだね」
「これとっといてさぁ、そういう趣味のやつに売れば高く売れるんじゃねぇの?」
「それいいねぇ」
なんて勝手なことを2人は言って、そのたびに勝手に2人で笑って、そうこうしているうちに、首の後ろで「ジャキッ」とハサミの音が鳴った。