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泡のように
第26章 25.
「なんだ、マジでほんっとに、俺たちのこと話してないんだな。口がかたいって言うか、秘密主義っていうか、変子っていうか・・・」
「変子なんだろ」

 間髪入れずにアキホは言った。
 また、2人で勝手に笑う。

「心配すんなよ。ちょっと篤志から、義理の妹と付き合ってたみたいなことがあった、けど別れた、って聞いただけだ。智恵子はあんな体位が好きだとか、こんなプレイが好きだとか、そんなことは一切聞いてねぇから、安心しな」

 ぎょっと目を丸くした私を、やっぱり2人は勝手に2人だけで笑った。

「うそうそ。ほんっとに、何も聞いてないんだ。だから、知りたかったんだよ。おまえら兄妹がどうして付き合うことになって、どうして別れることになったのか」
「ただの興味本位で」
「そう、年増のジジイとババアの、やらしい興味本位で」
「家政婦は見たってノリで」
「そう、ジャジャジャジャ、ジャジャーン!のノリで」

 絶対的な感性をどこかしらで共有しているらしい2人は、まるでお母さんと山岸のおっさんのように、幸せな夫婦として私の心に映った。

「教えてよ」

 どう答えたら正解なのか、やはり分からなかった。
 だって、あくまでも初対面に近い人物である2人に話せる範囲にある事実が、存在しないのだから。
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