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泡のように
第26章 25.
「本当の兄妹が恋愛して子供つくって生むなんて、おかしいって、おもったりしないんですか?」
アキホの顔からも笑顔が消えた。
店内にBGMが流れていなかったと知ったのは、この時だった。
「すみません。失礼なこと言って」
沈黙が私たちを包む。
けれど、アキホの代わりに口を開いたタカシは怒ったり笑ったり、そんな感情を表に出して何か言うようなことはしなかった。
「うーん。だって、仕方ねぇもんな」
組んだ脚をぶらつかせながら、頬杖ついて、煙草をふかしている。
アキホはハサミを止めることもなく、黙っていた。
「そりゃ正直言えばさぁ、おかしいと思うよ。でも、仕方ねぇじゃん。それが事実なんだから。だからオレはふーんって言って、ただ、事実を受け止めるだけ。あ、そう、ありのまま」
タカシは空気を読める大人だった。
調子はずれの「ありのまま」を歌って、更に場を白けさせた。
アキホはまだ、黙ったままだった。
「おかしいだろ!ってツッコんでなんになんの?オレたちがツッコめば、まともになんの?無理でしょ。だったら、まぁそれもいいんじゃないっすか?って、肯定してやったほうが、オレたちも楽っていうか・・・だって、そうだろ?オレたちの心の中にもさ、そういう、人に理解されないトコがあるから、他人を肯定して、自分も肯定したいって思うんじゃないかな」
そしてタカシは立ち上がり、スタスタ歩いて出入り口の鍵を締めた。
アキホの顔からも笑顔が消えた。
店内にBGMが流れていなかったと知ったのは、この時だった。
「すみません。失礼なこと言って」
沈黙が私たちを包む。
けれど、アキホの代わりに口を開いたタカシは怒ったり笑ったり、そんな感情を表に出して何か言うようなことはしなかった。
「うーん。だって、仕方ねぇもんな」
組んだ脚をぶらつかせながら、頬杖ついて、煙草をふかしている。
アキホはハサミを止めることもなく、黙っていた。
「そりゃ正直言えばさぁ、おかしいと思うよ。でも、仕方ねぇじゃん。それが事実なんだから。だからオレはふーんって言って、ただ、事実を受け止めるだけ。あ、そう、ありのまま」
タカシは空気を読める大人だった。
調子はずれの「ありのまま」を歌って、更に場を白けさせた。
アキホはまだ、黙ったままだった。
「おかしいだろ!ってツッコんでなんになんの?オレたちがツッコめば、まともになんの?無理でしょ。だったら、まぁそれもいいんじゃないっすか?って、肯定してやったほうが、オレたちも楽っていうか・・・だって、そうだろ?オレたちの心の中にもさ、そういう、人に理解されないトコがあるから、他人を肯定して、自分も肯定したいって思うんじゃないかな」
そしてタカシは立ち上がり、スタスタ歩いて出入り口の鍵を締めた。