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泡のように
第27章 26.
「あ、は、はい」
「そっかー。篤志ってえらいね。わたし学校って大嫌いだったな。ずっといじめられてたから。先生ってもっと嫌いだった。高圧的で、いつもバカにしてきて。先生たちなんかみんな死ねばいいのにって思ってたのよ?怖いでしょ。だから、わたしの息子なのに学校の先生になれるなんて、なんだか信じられないな。あんなにシャイなのにね」

 信じられない通りの出来栄えの先生だと思いますよ、とは、やはり言えなかった。

「そのへんはパパに似たのかな?」

 首を傾げるレイナの視線は、私から、テレビの横のピカピカの飾り戸に移っていた。

「え?」

 疑問符は玄関から聞こえてきた鍵の音に消えた。
 レイナは唐突に立ち上がると、急ぎ足で玄関のほうへ向かった。
 自動的に心拍数が上がる。
 帰宅したのが、お兄ちゃんの本当の父親だと、わかっていたからだ。



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