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泡のように
第31章 30.
 帰りの電車は、ラッシュが過ぎた午前9時台ということもあり、席に座れるほど空いていた。
 弱冷房の効いた生暖かい普通列車に揺られながら、ふと指を折って数えてみる。

 ピルを服用していた頃はキッチリ28日周期で訪れていた月経。
 確かに、今月の生理は遅れている。
 って言っても、たったの、2週間だけだけど。

 先生は関係ないだろう。先生と最後に関係を持ったのは前回の生理より前だ。
 この1ヶ月のあいだ、関係を持ったのはあの陰気な男だけ。
 

 
 妊婦になった気分で、長袖に衣替えしたセーラー服の上からお腹を撫でてみる。
 まるで、このあいだの、秋芳先生みたいなやり方で。




 秋芳先生に本当に別れを告げたのは、月経予定日だった、2週間前。
 先生はわりと潔く「そっか。山岸が決めたんなら仕方ねぇな」と言って、一緒にアパートに置いていた荷物を纏めてくれた。

 先生は恐らく、レイナに匹敵するくらい、片付けや生理収納が得意だ。

 私が持ち込んだ荷物である、あってもなくてもどっちでもいいような教科書とか、てきとうな部屋着とか、破れを繕った靴下とか、ハレンチな男性向けの漫画本とか、エッチな玩具とか、100均で買った可愛いけどすぐボロくなるシュシュとか、先生が買ってくれた指輪の中身の入ってない小箱とか。

 それらのものを何もかもドサドサと適当にダンボールに詰め込んでいく私の手を先生は止めさせて、全部一旦取り出して、そして、ボーッと眺める私の隣で、まるでパズルのピースをはめていくように寸分の狂いなく1ミリの隙間なく、それらすべてを1箱に纏めてしまった。

「智恵ちゃんはマジでバカだな。収まるとこに収まるものを入れたら上手く行くって、考えつかねぇの?こんな詰め込みかたじゃいつまで経っても片付かねぇし、箱が何個あったって足りねぇだろ」

 そんなことを私に、言いながら。
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