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泡のように
第31章 30.
 普通列車が最寄駅に着き、改札を出て、20分もだらだら歩いて団地に帰宅した。
 お兄ちゃんがくれた合鍵には小さいザクのキーホルダーがぶら下がっていた。それがサーモンピンク色したシャアザクだったという点だけが、自分を量産型ザクだと評したお兄ちゃんの、ある意味で人間らしい部分なのかも知れない。

 モノというモノが適所に仕舞われることもなく、乱雑かつ適当にそこらじゅうに放置されまくった散らかりきった台所を横目に、同じような状況の畳部屋へ足を進め、窓を開け放してからセーラー服を脱ぎ捨ててキャミソールとパンツ姿になり、敷きっぱなしだった布団の上に横になる。

 つわりが、というのは嘘だったけど。
 でも今朝からどうも、気分が悪い。
 ホットケーキを5枚も食べたせいだろうか。
 いや、まさかマジでデキた?
 先生のときは毎日中出ししてたのに妊娠しなかったから、赤ちゃんってそんなに簡単にデキないのかもとか勝手に思ってた。

 
 ふと考え、布団から起き上がってお兄ちゃんのパソコンを起動させた。
 玄関に置いてきたカバンを取りに行く気力がなかったのだ。
 先生と付き合っていた頃は、常に左手に握り締めるようにして生活していたのに。
 今となっては、スマホを手元に置いておく理由もなくなった。
 お兄ちゃんは学校から私にメールをしたり、電話を掛けてきたり、そのようなことを、一切しないからだ。


 モニターにザクが現れたのを確認してから、Firefoxの丸まったキツネをダブルクリック。
 トップページのGoogle検索欄に「妊娠」と打ち込んだところで、すぐにバックスペースキーを連打した。


 あ、そうか。
 別にわざわざ検索しなくたって、病院に行って検査すればいいんだ。
 それで、デキてたら生むし、デキてなかったら・・・その場合は、またふつうに、暮らすだけのことじゃん。


 Googleページを閉じ、再びデスクトップ画面に戻る。
 105mmマシンガンを構えるザクを覆うように埋め尽くされた、アイコンとフォルダの数々。
 実生活がだらしないのだから、パソコンの中もだらしなくて当たり前か。
 可笑しくなって肩を震わせながら、カーソルをモニター左下に向かって動かしていたとき。

 ふと、黄色いフォルダの中のひとつに「rina」と名前のついたものが目に入った。
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