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泡のように
第33章 32.
 先生は私を抱きしめ続けるけれど、決しておっぱいを触ったりはしない。
 ねぇ先生。

「私もほんとのとこ、もっと言っていい?」

 ほんとの気持ち、教えてくれてありがとう。

「私ね、忘れてたことがあるんだ」

 こんなバカな女に真剣に応えてくれて、ありがとう。

「お兄ちゃんに聞いて思い出したんだけどね」

 私、先生を選んでよかった。

「はじめてお兄ちゃんが私の身体に触った日のこと。真っ暗い部屋でね。2段ベッドの下で寝てたらね。気付いたらお兄ちゃんが私のズボンのね、下を脱がせてたの」

 先生と、先生の前で平気で屁をこけちゃうくらいの仲になれてよかった。

「びっくりしてさ、声を出そうとしたら、手で口を抑えられてね」

 それくらい仲良くなれてよかった。
 先生的には引いてたみたいで申し訳ないけど。

「絶対に声出すなよって言われて」

 でもね。

「怖い顔で睨んでからね、それからね、指をね・・・・」

 わたしね。

「突っ込まれてさ」

 ほんとはね。

「暴れたらすごい力で腕とか押さえつけられてさ」

 お兄ちゃんとそれくらいの仲になりたかったの。

「怖くて、泣きたかった」

 ほんとは、お兄ちゃんとそれくらい近い関係になりたかったの。

「でも、そうしたらお兄ちゃんがもう2度と私と口をきいてくれないんじゃないかって。お兄ちゃんまで私のことお母さんみたいに嫌いになって、嫌いなくせに愛してるふりをして私の世話するような人になるんじゃないかって怖くてたまらなくて、だからお兄ちゃんが何してるかもわかんなかったし痛くて嫌で苦しくてどうしようもなかったけど、お兄ちゃんが私を見るから、あの目で私を見るから、あの、綺麗な目で私を見つめるから、嫌われたくなくて、だから、嬉しいって言った」
 
 お兄ちゃんの前では一度も屁をこけなかったの。

「そしたらお兄ちゃんは私のこと好きだって、大好きだって、いっぱい言ってくれた。だから私もお兄ちゃんに大好きだって言った。もっとしてって言った。いっぱいしてって言った。今だってそうだよ、もっと抱いてって、もっと汚してって、もっと、もっと、私を・・・・」

 10歳のとき、お兄ちゃんに女にされてからは。



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