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泡のように
第34章 33.
「3ヶ月です」
「そっかー。今いちばんしんどい時だね」
柔らかい手のひらは髪の毛からお腹の上に移る。
優しく上下する手のひら。
さっきの先生の大きな手のひらを思い出して、また涙が滲む。
「えっ、どうしたの?」
突然グスグス泣き出した私に、レイナはおろおろしていた。
「大丈夫?しんどいの?もっかいトイレ行く?」
「レイナさん教えてください」
単刀直入すぎると思ったが、空気読めない子であることは初対面の時点でアピール済だから構うもんかって思った。
だから、率直に尋ねたのだ。
「レイナさんはお兄さんの子供を妊娠したって分かったときどう思いましたか」
お兄ちゃんによく似たテイストのエキゾチックな顔が困惑に歪んでいる。
レイナはしばらく黙っていたけれど、じきに唇が動いた。
「嬉しかったって・・・前に言ったような気がするんだけど」
黙って頷くと、レイナは立ち上がり、開けっ放しになっていた部屋のドアを締め切った。
ガチャンと軽い音ののち、い草の臭いがふわりと鼻の中に入ってくる。
胃が畝ねる。
「・・・篤志はなんて言ってるの?」
質問の意味を理解してくれたレイナはそう尋ねて。
お兄ちゃんと同じ色した鳶色の。
「赤ちゃんのこと、知ってるの?」
奥底が、ぜんぜん笑っていない瞳で。
「ちゃんと話したの?」
私をじっと見つめ続けている。
黙って頷くと、レイナは端正な顔いっぱいに困惑を浮かべていた。
「あの子、シャイなくせに手だけは早いのね。まるでパパにそっくり。変なところばっかり似るんだから・・・」
しばしの沈黙の後、レイナは再び唇を開いた。
「まさか恋人同士だったなんて・・・。驚いちゃった。でも智恵子ちゃんと篤志は義理の兄妹だし、わたしたちとは違うわよね。たまたま同じ家で育ったってだけで、血は繋がってないんだから。わたしとしては嬉しいのよ?これで智恵子ちゃんと本当の親子になれるみたいで・・・でも・・・」
「そっかー。今いちばんしんどい時だね」
柔らかい手のひらは髪の毛からお腹の上に移る。
優しく上下する手のひら。
さっきの先生の大きな手のひらを思い出して、また涙が滲む。
「えっ、どうしたの?」
突然グスグス泣き出した私に、レイナはおろおろしていた。
「大丈夫?しんどいの?もっかいトイレ行く?」
「レイナさん教えてください」
単刀直入すぎると思ったが、空気読めない子であることは初対面の時点でアピール済だから構うもんかって思った。
だから、率直に尋ねたのだ。
「レイナさんはお兄さんの子供を妊娠したって分かったときどう思いましたか」
お兄ちゃんによく似たテイストのエキゾチックな顔が困惑に歪んでいる。
レイナはしばらく黙っていたけれど、じきに唇が動いた。
「嬉しかったって・・・前に言ったような気がするんだけど」
黙って頷くと、レイナは立ち上がり、開けっ放しになっていた部屋のドアを締め切った。
ガチャンと軽い音ののち、い草の臭いがふわりと鼻の中に入ってくる。
胃が畝ねる。
「・・・篤志はなんて言ってるの?」
質問の意味を理解してくれたレイナはそう尋ねて。
お兄ちゃんと同じ色した鳶色の。
「赤ちゃんのこと、知ってるの?」
奥底が、ぜんぜん笑っていない瞳で。
「ちゃんと話したの?」
私をじっと見つめ続けている。
黙って頷くと、レイナは端正な顔いっぱいに困惑を浮かべていた。
「あの子、シャイなくせに手だけは早いのね。まるでパパにそっくり。変なところばっかり似るんだから・・・」
しばしの沈黙の後、レイナは再び唇を開いた。
「まさか恋人同士だったなんて・・・。驚いちゃった。でも智恵子ちゃんと篤志は義理の兄妹だし、わたしたちとは違うわよね。たまたま同じ家で育ったってだけで、血は繋がってないんだから。わたしとしては嬉しいのよ?これで智恵子ちゃんと本当の親子になれるみたいで・・・でも・・・」