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泡のように
第35章 34.
 無駄に瞬発力があるから思わずフライングして幼い私にアレコレしたのだろうか?
 なんて無意味なことで頭をいっぱいにさせてしまう。
 考えたって試合と同じで結果がすべてなんだから、失敗から学べるならまだしも、学ぼうとすらしていない私にとっては真の無意味でしかないはずなのに。
 事実先生は出勤前、私に言った。

「ま、智恵子は何も考えなくたっていいよ。もしアレコレ考えちまうっていうなら、卒業することだけ考えな。追試でイッパツ合格出来るようほかの教科に関しては俺が勉強みてやるから。な?兄貴のことなんか考えたって無駄なんだから、今は卒業と出産に重点を置くこと。いいな?」

 実に教師らしい意見を述べてニヤリと笑う先生の左手には、煙草は挟んでいなかった。

 だから私は楽天家ぶった先生を見習って、無意味にテレビの電源を入れた。
 ベッドで横になったまま。
 そしてその体勢を何時間も続ける。
 安静にしろと言われたから、安静にするだけのこと。
 先生が何も考えるなと言ったから、何も考えないだけのこと。

 先生は私がアパートに舞い戻った日から一度も私を抱いていない。
 それどころか、自分がこの部屋の主であるくせに、突如として転がり込んできた妊婦に気を使って、ベランダでしか喫煙しないという有様。
 車内でだって同様だ。
 その代わり、ハンパないイライラとコンビニにて途中停車という事態は発生するけれど。



 でも。
 それが先生からの愛でないなら、ほかのなにを愛と呼べるのだろう。



 もしかしたらお兄ちゃんよりも猜疑心が強いかも知れない私は、自分のことを棚に上げて先生が私に与えてくれる愛の数を数えている。


 何個集まれば私の心の揺れは止まるのだろう。
 何個集まれば、あの男に対する強い想いから、自分自身を解放出来るのだろう。


 吐き気と揺れが渦を巻いて全身を支配する。
 耐え切れなくて目を閉じる。
 その体勢のまま、何時間も過ごした。
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