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泡のように
第35章 34.
 ふとチャイムの音で目を覚ました。
 眠ってしまっていたことにすら、その時はじめて気が付いた。
 橙色に染まる室内を、つけっぱなしになっていたテレビの青白い光がチカチカと不愉快に照らしている。

 生成りのカーテンの外では西日が沈みかけて濃紺と橙のグラデーションが空に浮かんでいた。

 もう一度、チャイムが鳴る。

 基本的に俺がいるとき以外は危ないから居留守を使えと、覗き穴しか訪問者の正体を知る術のないこの部屋で住むにあたり、先生は私にきつく言い聞かせたことがあった。

 宅配便、NHK、セールス、新聞の勧誘、それらを装った強盗・強姦・殺人犯。

 先生が具体例として挙げた訪問者の目的が脳裏に浮かぶ。
 しかし、間髪入れずチャイムが再び室内に響いたとき「まさか」は確信に変わった。

 スマホが鳴る。
 床の上で振動を始める。
 ブーブー鳴って床の上をひとりでに動き回る。
 そしてチャイムの音。
 この状況下に於いては殺人犯よりタチの悪いヤツが訪問者の正体らしい。

 土曜日はいつも15時頃には帰宅してきたお兄ちゃんの「やっと明日は休みだ」という生気のない声が脳裏に蘇る。
 ということは、今日ここに来たのも、明日が休みだからなのだろうか?
 あの男はどうしていつだって、なにをするにも自己都合でしか動けないのだろう。 
 素朴な疑問が私の身体を硬直させる。

 たいして強くもないくせに練習熱心な部員が多く存在する我が校ラグビー部の活動。
 土曜日の練習は午後から始まり、19時頃まで続くはずだ。
 つまり先生は、まだまだ、帰ってこない。
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