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泡のように
第37章 36.
 キモチイイとか快感とかじゃなくて、先生と繋がって抱き合うと、今までに感じたことがないくらい温かい気持ちになる。
 まぁ、事実羽毛布団と大柄の先生に包まれていて体温が上昇しているという外部的な要因もあるだろうが。
 それでも初めてこのベッドの上で先生としたセックスとは意味合いが違うはずだ。

「どうして先生は私なんかを愛してくれるの?お腹の中の子だって先生の子供じゃないのに」

 学生時代はずっと優等生だったという先生の、はじめてのたまごクラブ推奨の挿入時間短めという言葉を忠実に守った5分間という驚異的に短い時間で、尚且つヌキもせずコンドームを外してパンツを履いた先生の煙草を握り締めてベランダに向かう背中に尋ねた。

「しつけぇな。仕方ねぇことだってなんべんも言ったろ。それにな、同じDNAを所有する我が子しか愛せないっていうなら俺はハナっから教師なんてやってねぇし。そういうマザーテレサ的な部分がこんな俺にもあるんだよ。そうだ。お前の死んだオヤジみたいな気持ちだろ」

 窓が開くと外から冷たい風が暖房で温まった室内に一気に流れ込んできた。
 思わず羽毛布団を頭から被り、窓が締まるまでそのままでいた。
 ベランダでTシャツとボクサーブリーフ姿のまま煙草をふかしている先生の広い背中を見つめる。
 伸びてきた直毛の襟足をうざったそうに指で梳いている先生。
 この後ろ姿がボサボサの巻き毛を所有するあの男だったなら。
 私は今、こうして笑っていられただろうか?

「まったく、ありがたいことだね」

 泣き出したいくらいの温かさの中でぽつりと呟き、私も部屋着を身に付ける。

 腹の中の我が子がこの世に生まれ育ち、いつか真実を知ったとき、どう思うのだろう。
 私を人でなしと責めるだろうか。
 先生をマザーテレサレベルの愛ハンパネェと感謝するだろうか。

 お兄ちゃんはいつ、自分の両親が実の両親でないことを知ったのだろう。
 お父さんとお母さんはいつ、自分たちと篤志が血縁関係にないことを話したのだろう。
 
 どうして、こんなに温かいところにいるのに心の中ではあの背中と先生の背中を重ね合わせてしまうのだろう。
 どうして私は、あの背中から逃げたいのに、いつも心の中ではあの背中を求めてしまうのだろう。
 いつから私はこんなふうに、あの背中に支配されていたんだろう。
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