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泡のように
第7章 6.
 愛情チャージしたものの駅からウチまでの道のりはさすがに足が重かった。途中立ち寄った駅構内のトイレで季節外れのゴキブリ、しかも交尾中を目撃したせいでもあるが、言うまでもなく99%は留年の可能性が浮上したことによる精神的ショックによるものだ。

 お父さんもお母さんもお兄ちゃんも立派なのに、どうして私はこんなに駄目なんだろう。私はお父さんとお母さんの実の子なのに、血の繋がらないお兄ちゃんのほうがずっと優秀で、私はダメダメだ。勉強もスポーツもからきしダメ。ちなみにそういった理由で騎乗位も下手だ。
 お兄ちゃんは学区内で一番賢い高校と国公立の大学を卒業してるのに、私は学区内で一番バカな高校で留年の危機だ。お父さんもきっと天国からため息ついてるはず。佐伯さん的には天国なんかないって言うけど、死んでみなきゃ真実なんて分からないから想像するのは自由でしょ?

 お父さんに申し訳なく思うことは、私は100%教師になれる見込みがないってことと、お母さんの再婚相手に不本意ながら抱かれてるってことと、お兄ちゃんを。いくら血が繋がってないとはいえキョウダイとして育ったお兄ちゃんをうっかり男として好きになってしまって、でもフラれたから、お兄ちゃんの代わりになりそうな男、それもお父さんと同じ教師って立場の。に、抱かれて、現実問題の、寂しさを埋めてます。ってこと。ロクに勉強もせずに。トホホ。

 帰宅してからずっと自室に隠って勉強していた私を、お母さんが物珍しそうに見に来たは22時を過ぎた頃だった。

「なに?追試?」

 再がふたつつきます、とは言えず曖昧に笑って頷いた。

「現代文で追試なの?呆れた。ちょっと見せてみなさい。まぁ~こんなの智恵子に分かるわけないじゃない。誰が作ったのこの問題?文句言ってやろうかしら、ウチの子バカなのにこんな陰湿な問題出さないでよって」

 お母さんは教師のくせに私の教育に関してはモンスターペアナントカ気味である。違う意味で。

「1年のときの担任」

 早口で答えるとお母さんは舌打ちした。その拍子に酒の臭いがした。

「ああ、あの、全日本プロレスにいそうな感じの先生ね。そういえばあの先生国語だったわね。江國香織よこれ、どのツラ下げて読んでんだか。フン」

 まんまるい顔をいかつく歪め鼻を鳴らすお母さん。小学校の先生もきっと色々ストレスが溜まるんだろう。
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