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泡のように
第37章 36.
「なんでもかんでもあんたの世話を篤志に押し付けて、申し訳なかったわ。お母さんがもっとあんたのことちゃんと面倒見てやってたら、篤志もこんなバカな妹をどうこうしようなんて思わなかっただろうにね。お母さんも篤志をどっかで父親として扱おうとしてたのかも知れないわ」

 眠くなった頃にパジャマを脱がされて。
 はだかんぼにされて。
 お兄ちゃんのパジャマも脱がせて。
 天井向いてるあれを口に入れて。
 舐めて。
 飲んで。
 それから、交代でお兄ちゃんに気持ちよくしてもらって。
 最後にお兄ちゃんは。

「そもそも健児さんだってあの子の性格をよく考えもせず理想だけを押し付けて教師になれ!そして困ってる子を助けるんだ!なんて、自分が子供の頃父親とさせられたのと同じ約束を篤志に取り付けたのよ」

 私に好きだって言った。

「自分と同じような苦しみを味わすレールを篤志の人生に敷いて、まぁあの時の篤志を思い出すと可哀想でたまらない気分だわ」

 兄ちゃんには智恵子しかいないんだよって言った。
 兄ちゃんを笑顔で受け入れてくれるのは智恵子しかいないんだって。

「健児さんはね、自分は教師なんかにはなれないって泣いてる篤志に、絶対に約束を守らなきゃお前を引き取った意味がないとまで言ったんだからね」

 兄ちゃんを心底愛して必要としてくれるのは智恵子しかいないんだって。

「健児さんは生徒のことしか考えられないような指導熱心な人だったからお母さんと同じでね、自分の子供なんていらなかったのよ。あんたが生まれたときだって生徒のためにかけずり回っていて一度も病院に会いに来なかったくらいで」

 頼むから智恵子だけは兄ちゃんから離れないでくれって。
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