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泡のように
第7章 6.
「まぁ、追試頑張りなさいよ」
襖戸の向こうに消えようとしているまんまるい背中に慌てて言った。
「お母さん、じゃあ私、お兄ちゃんのお嫁さんになる!」
お母さんは道端のウンコを見るような目で私を振り返った。
「あんた本当にバカねぇ、いくら血が繋がってなくっても、家族でキョウダイなんだから結婚なんて出来るワケないでしょ。結婚ってね、ただ家事したりするだけじゃなくってセックスだってするのよ。フン。いくら現代文が追試だって、それくらい言われなくても分かりなさいよ。ん?あんたまさか、ずーっと一緒に育ったお兄ちゃんとセックスしたいって言ってるワケじゃないでしょうね?そんなことが出来るって言うなら、あんたはほんとーに救いようのない真性バカだよ。ま、出来が良くて賢いお兄ちゃんはあんたみたいなバカ妹、相手にはしないだろうけどね」
まんまるい背中が亡霊のように襖戸の向こうに消えていった。
握ったままのシャーペンが手汗にまみれてドロドロになっていたことに気付いたのはそのあとだった。
お母さん、ちょっと飲みすぎていたみたい。たぶん、と思いたい。
襖戸の向こうに消えようとしているまんまるい背中に慌てて言った。
「お母さん、じゃあ私、お兄ちゃんのお嫁さんになる!」
お母さんは道端のウンコを見るような目で私を振り返った。
「あんた本当にバカねぇ、いくら血が繋がってなくっても、家族でキョウダイなんだから結婚なんて出来るワケないでしょ。結婚ってね、ただ家事したりするだけじゃなくってセックスだってするのよ。フン。いくら現代文が追試だって、それくらい言われなくても分かりなさいよ。ん?あんたまさか、ずーっと一緒に育ったお兄ちゃんとセックスしたいって言ってるワケじゃないでしょうね?そんなことが出来るって言うなら、あんたはほんとーに救いようのない真性バカだよ。ま、出来が良くて賢いお兄ちゃんはあんたみたいなバカ妹、相手にはしないだろうけどね」
まんまるい背中が亡霊のように襖戸の向こうに消えていった。
握ったままのシャーペンが手汗にまみれてドロドロになっていたことに気付いたのはそのあとだった。
お母さん、ちょっと飲みすぎていたみたい。たぶん、と思いたい。