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泡のように
第9章 8.
 木戸に対する苛立ちは弁当とは名ばかりの自製おにぎりをひとつ食べて空腹をやり過ごした頃には消え去っていた。
 お母さんの部屋からパチッてきた煙草で一服したせいもあるが。

 昼休みはもっぱら、クラス替え後突貫工事気味にたった2日で編成されたグループの奴らと中庭のベンチで過ごすことが多い。
 なぜなら各々弁当を食べ終わったあとに中庭奥の、教職員は滅多に来ない旧焼却炉の影に隠れて一服したい喫煙者のメンバーが4人もいるからだと思われる。
 ちなみにそこはグループのメンバーだけでなく、ひっきりなしに色んな生徒が訪れては煙草を吸って、去っていく。
 要するに生徒専用の喫煙所みたいなものだ。

 リーダーの晴香の左手薬指には新学期登校初日から安っぽいピカピカの指輪がはまっていて、右利きのくせに左手でフォークを操り弁当のオムライスを口に運ぶ辺り彼女は自己顕示欲の塊と言える。
 Facebookで春休み中に出会った大学生の彼氏との初体験が今日の話題の中心だ。

「最初は上手くいかなくってぇ、3回目でようやく入ったんだけど、も~めちゃくちゃ痛いわけ!」

 グループは6人。
 非処女を公言しているのが2人、処女が3人。本日晴香が脱処女宣言したので半々になる。
 正確には処女という体になっている私を除けば非処女が多数という結果だ。高校3年生にもなると当然のことだろう。
 晴香の話を処女2人は羨望の眼差しで聞き惚れている。

「痛いんだって」
「コワイ!」

 とか言いつつ、相手さえ見つかれば今すぐ股開きます、みたいな表情だ。

「そういえば智恵子は春休み中、なにかあった?」

 晴香が私に話を振った。メンバー全員が私のほうを見る。
 彼女たちの耳にも噂は届いているのだろうか?
 期待を込めた輝く瞳、カラコン装着で青や緑や赤に不気味に光っている、で私を見つめているが、ごめんね。君たちに自分の経験を話す日は永遠に来ないよ。

「私はなにも」
「本当に?」

 晴香のリアクションを見て納得。確実に噂を聞いたに違いない。
 揃いも揃って今からキャバクラにでも出勤するの?と聞きたくなるケバイメイクを瞼に施した10コの瞳が面白可笑しく輝きを放ちながら私に早く口を割るよう催促している。が、私の心には南京錠がかかっている。佐伯さん以外には誰も開けない頑丈でぶっといやつ。

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