この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
泡のように
第11章 10.
「今度はマジで、見損なったろ」
先生は寝ている時のように情けなく眉毛を下げた顔で、自分も下着をつけた。
心がざわつく。
正直、先生の過去とか秘密とか、どうだっていい。
私のほうがよっぽど隠しているものがデカイ。
こんなことなら、俺むかし人を殺してさって言われる方がマシだ。
「ううん、別に気にならない」
正直な感想を述べる。
「バツイチだろうがなんだろうが、先生は先生でしょ。私は先生が好き」
言うべき時は、今なんだろうか?
私の発言にあからさまに安心した様子で先生はほっと息をついた。
「そうか」
「ねぇ先生」
ベッドの上でTシャツに頭を通す先生に近付き、手を握ってみる。
近付いただけでヤニの匂いが鼻についた。
「私も言ってなかったことがある」
先生の瞳は黒い。
覗き込むと自分の顔が鏡のように写って見える。
長い髪の、化粧っけのない、地味な女。
崩壊させるときは今なのか。
もしくは、今はじまるのか。
漆黒の闇より深い先生の瞳にお兄ちゃんの顔が浮かんで消えた。
先生は寝ている時のように情けなく眉毛を下げた顔で、自分も下着をつけた。
心がざわつく。
正直、先生の過去とか秘密とか、どうだっていい。
私のほうがよっぽど隠しているものがデカイ。
こんなことなら、俺むかし人を殺してさって言われる方がマシだ。
「ううん、別に気にならない」
正直な感想を述べる。
「バツイチだろうがなんだろうが、先生は先生でしょ。私は先生が好き」
言うべき時は、今なんだろうか?
私の発言にあからさまに安心した様子で先生はほっと息をついた。
「そうか」
「ねぇ先生」
ベッドの上でTシャツに頭を通す先生に近付き、手を握ってみる。
近付いただけでヤニの匂いが鼻についた。
「私も言ってなかったことがある」
先生の瞳は黒い。
覗き込むと自分の顔が鏡のように写って見える。
長い髪の、化粧っけのない、地味な女。
崩壊させるときは今なのか。
もしくは、今はじまるのか。
漆黒の闇より深い先生の瞳にお兄ちゃんの顔が浮かんで消えた。