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泡のように
第11章 10.
「私ほんとはね、先生が初めてじゃなかった」

 先生のかさついた唇がほんの少し開いた。
 何度も瞬きをして私を見つめている。
 え、短い疑問符を私に投げた先生の手は汗で濡れていた。

「ごめんなさい」
「あ、いや・・・ちょっとびっくりしたけど、あの・・・なんつうか」

 真っ黒い瞳は私を写すのをやめた。
 代わりに新しい煙草を口にくわえる。
 火をつける前、ため息混じりに先生は声を漏らした。

「なんで黙ってたんだ?最初に言ってくれたらよかっただろ」
「言えると思う?」
「・・・あぁ、俺が喜んでたから?」
「それもあるけど」
「別に言ってくれてよかったのに。ああ、やっぱりなって気持ちだぜ、今。血が出ただけで処女とは思えないくらい感度よかったし」
「そうじゃなくて」
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