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泡のように
第12章 11.
「た、ただ片付けてたら出てきたってだけで、べ、べつに」

 お兄ちゃんは私の手からフォトフレームを奪うと、片付けた気配などどこにも感じられない積み重なった本の上にそれを置いた。その瞬間ふわっとホコリが舞った。

「べつに、なにも、意味なんて・・・」

 声のトーンが落ちる。
 鳶色の瞳がわたしを見つめている。

「ないよ。智恵子だって、そ、そうだろ。彼氏も出来て、兄ちゃんなんか、もう必要ないだろ?」
 
 そんなことを言うなら、どうして私の髪に触れるの?
 尋ねる間もなく、お兄ちゃんの手は私の頭から離れてしまった。

「・・・か、帰りなよ。智恵子はちゃんと智恵子の部屋で、寝なさい。ね?」

 お兄ちゃんは股間を隠すように私に背を向けると、しつこく帰宅を促した。
 ふと見れば、フォトフレームの下で積み重なった本の間に、見覚えのあるアルバムがあった。黙ったまま手に取る。バサバサと重なっていた本が崩れ、お兄ちゃんが振り返った。

「あ、それ、」

 お兄ちゃんに奪われる前にまたもやページを開いた。

 霰もない姿でよがったり、咥えたり、かけられたりしてる写真。
 アルバムの中はそういった写真で埋め尽くされている。

「律儀だね。写真撮ってくれてたの、全部プリントしてたんだ」

 勃起した股間を隠すことも忘れ、青ざめた顔で私とアルバムを見つめるお兄ちゃんの前で、10歳の頃からの私の写真を一枚一枚懐かしく思いながらも眺めた。

「こうやって見たら、確かにえろい体してるよね、私って。顔も。ふふ」

 ページの終わりがけで、手が止まった。

 スウェット姿で熟睡している私の写真が最後のページに挟んであったからだ。
 ブラジャーごと服を捲り上げて、露になった乳房をお兄ちゃんの手が掴んでいて、ずらした下着の隙間から挿入されてる写真。
 春休みの、あの時の写真だ。

「あれ?あの時もしかして、わざわざカメラ取りに帰ってからしたの?」

 口の端が歪む。
 お兄ちゃんはオドオド俯いたまま答えなかった。
 ハーフパンツの前は可哀想なくらい張り出している。

 黙っているお兄ちゃんに近付いてしゃがみこみ、ハーフパンツを下ろした。そして血管がパンパンに充血して脈打っている中身を取り出して、唇に当てる。あれ以来ずっと一人でしていたのか、それだけの刺激でびくんと大きく跳ねた。
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