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泡のように
第12章 11.
「私、帰った方がいい?」

 先走り液が尖端から垂れるそれを口に含んでも、お兄ちゃんは抵抗しなかった。

「ね、帰らなくていいよね?」

 微笑んで見せながら、舌で刺激する。
 お兄ちゃんは陰気なオーラの割に無駄に端正に出来た顔を快感に歪めながら、小さく頷いた。


 お兄ちゃんのを、こうやって口の中に入れるようになったのは10歳より前だ。
 いつからだったのか、思い出せないくらい、昔から。
 学校の仕事が忙しく夜遅くに帰宅するお母さんを待つ間に、お兄ちゃんはこういうことを私にさせていたと思う。

 教えられた通りゴクンと飲み干せば、お兄ちゃんは褒めてくれた。
 馬鹿すぎていつもどこに行っても叱られてばかりだった私にとって、優しいお兄ちゃんだけが心の逃げ場で、お兄ちゃんに褒められることは生き甲斐に近かった。
 お兄ちゃんの求める行為が何なのか、私にとってどういう意味があるのか考えもせず、よくわからないけれど、ただお兄ちゃんに褒められたくて言うことを聞いてた。

 お兄ちゃんは自分が終わったら交代して私のを触ったり舐めたりしてくれた。
 幼稚園くらいで絶頂を知ってるって、我ながら素質のある子供だよなぁって思う。
 ガキなのにちゃんと濡れて、気持ちよくなって。
 もしかしたら喘いでたかも。
 これでなにされてるのかよくわかってなかったんだから、真性バカ。
 すげーガキだよ。まったくのところ。

 お兄ちゃんが私をそういうふうに狂わせたんだろうか。
 だから10歳やそこらで、お兄ちゃんのが入っちゃうくらい、エロい身体に長い期間をかけて、作り上げられてしまったんだろうか。

 いいや、私がお兄ちゃんを狂わせたんだろうか。
 私が素質のある子供だったから、善悪の知識もハッキリしているお兄ちゃんの理性を狂わせて麻痺させてしまい、取り返しのつかないところにまで来てしまったんだろうか。
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