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泡のように
第12章 11.
「前は、私の彼氏は私のこと大好きだと思うって言ってたじゃん」
「だっ、だって、教師だなんて思わなかった」
「じゃあ別れたほうがいい?」
「それ、それは・・・」
「私に、一緒になろうって言ってくれたんだよ、先生は」

 お兄ちゃんは黙ったまま時計を見上げ、立ち上がった。

「ご、ごめん。そろそろ、準備しなきゃ」

 布団に取り残され、虚しくなる。
 まだ5時だ。こんな早くから出勤するはずがない。手を伸ばせば抱き締めることが出来るくらい近くにいるのに、心は遠く離れている。

「お兄ちゃんのほうが、よっぽどまともじゃないよ」

 聞こえているのかいないのか、お兄ちゃんの返事はない。

「小さい頃から妹にやらしいことずーっとして、処女奪っといてさ、今だってこうやって抱いて、でも私のことはただの妹だって言って、いい兄貴ぶって説教して」

 風呂場のドアがガチャンと締まり、すぐにシャワーの音が聞こえた。

「お兄ちゃんの気持ちが全然わからないよ」

 タオルケットを頭から被り、布団の上で丸まった。

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