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泡のように
第12章 11.
 確か今日は終業式だったな、とお母さんの病院に向かう電車の中で考えた。
 期末テストの追試と、各教科の補講が夏休みのメインスケジュール。明日から忙しくなりそうだ。
 ていうか私、そもそも卒業出来るんだろうか?

 ため息をつくと、隣の座席に座っていたサラリーマンが怪訝な顔で私をチラリと見た。
 そりゃそうだろう。
 ヨレヨレブカブカのTシャツに、これまたヨレヨレブカブカのハーパン姿の若い女が大きいボストンバッグ持って電車に乗っているなんて怪しすぎる。
 家出かホームレス予備軍と思われているんじゃなかろうか。
 恥ずかしいというより、もうどうでもいいって気分。
 着替えを忘れてきたせいでお兄ちゃんの服を勝手に借りてきた。
 なんでかって?私の数少ない洋服は全部、先生んちに持っていっちゃったから。

 目が覚めたときすでに先生が出勤する時間を過ぎていたから、電話出来なかった。それに、充電が残り僅かだ。お母さんの病院に行って着替えを渡したら、一度先生のウチに帰らなければ。
 あ、そうだ。
 途中でドラッグストアにも寄らなきゃ。じきに生理が来る。

 電車に乗る前、かかりつけの産婦人科に寄ってきた。
 主治医の呆れた顔は見慣れたものだ。

 最初、お母さんには生理痛が辛いからピルを飲みたいと説明した。
  
 子宮内膜症を患っていたお母さんは私にも遺伝しているかもと心配し、すぐに産婦人科を受診させた。

 ピルのことを私に入れ知恵したのはお兄ちゃんだった。

「も、もうちょっと智恵子が大きくなったら、さ?母さんが病気のために飲んでる避妊薬を飲むといいよ。そうしたら、こういうのがいらなくなるから。ね?」

 って、12歳のとき、布団の中で、精液が溜まったコンドームを蛍光灯の光に翳しながら。
 
 それから2年しておっさんが私の身体の上に乗ったとき、私はお兄ちゃんの言う「大きくなった」時期が来たのかとふと思った。
 お母さんを騙してピルを飲み始めてから半年して、医者には服用を一度やめて様子を視ましょうと言われたのに、お母さんが診察室に同席しなかったのをいいことに避妊のために続けたいって14歳の中学生が言えば、そりゃ引くでしょ。いくら医者でもさ。
 そして17歳になって、開院時間と同時に飛び込んで、今朝中出ししちゃったんで緊急避妊薬をください。なんて言えば、呆れて当然。
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