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泡のように
第12章 11.
 主治医の薦めで、ピルの服用も再開することにした。
 1ヶ月近く避妊せず先生とセックスした。今更、って思うけど。
 でも、お兄ちゃんの子供ができたらまずいって、それだけは、分かる。
 っていうことは、あれで最後じゃなくて、まだ期待してる自分がいるってことになる。

 先生は何て言うだろう。
 どうせ、これで兄貴にも気兼ねなく抱かれることが出来るなぁとか、言うだけだろうけどさ。




 案の定、私のいでたちを見たお母さんは「まぁ!」と悲鳴を上げた。

「あんたなにその格好!だらしないったらありゃしない!」

 お母さんは昨晩より元気になっていた気がした。

「だらしないって、これお兄ちゃんの私服だよ」
「なんでよりによってお兄ちゃんの服なんか。自分の着替えがないなら、お母さんのを着てきたらよかったじゃない」
「うるさいな。はい、これ着替えね。それで、調子はどうなの?」
「はいはいご苦労様。お母さんは至って元気よ。昼過ぎにお父さんがちょっと抜けて来てくれるから、先生から色々説明があるって」
「そう」
「今のところ入院は半月くらいって聞いてるけど、どうなるかしらね。子供たちが夏休みのうちに退院して、早く復帰出来るようにしないと。まったく、職場とクラスの子には迷惑かけちゃったわ」

 そういえば、今年度お母さんは何年生の受け持ちなんだろう。
 ほとんど帰宅していないせいで、それすら知らなかったことに今更気付いた。

「それよりあんた、今日学校は?」
「え?ああ、終業式だけだから休んだ」
「どうせ明日から補講続きでしょ」
「仰有る通りです」
「進路についてどう考えてるの?最低でも夏休み中には決めなきゃ専門学校だって間に合わないでしょう」

 病人にまで叱られる私って一体・・・。

「うーん・・・」
「まさかまだ何も考えてないなんて言わないわよね?」
「あのさぁ、お母さん。前に、私にはお嫁さんが一番向いてるって言ったよね」

 私がそう言った瞬間、お母さんの顔が一気に青ざめた。
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