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泡のように
第13章 12.
 酷い頭痛で目が覚めた。煙草の匂いと、床の上に転がった無数の空き缶。隣には見慣れた大きな背中があって、私はやっぱり服を着ていない。

 長財布の中に、いつものように折りたたまれた壱万円札が差し込まれていたことに気付いたのは婦人科での会計の際だった。

 お兄ちゃんは妹を買ったつもりなんだろうか。
 なら、どうしてお母さんに私と結婚させて欲しいなんて意味不明な発言をしたんだろう。

 本当にそのつもりなら、帰宅しない妹に電話のひとつでも掛けてきたっていいんじゃないか?
 先生のうちに戻ったのは、そのためのようなものだったのに。


「先生」

 冷房のタイマーが切れた室内は熱気が籠っている。でも、今は汗まみれになって汚れたい気分だ。

「ねぇ先生」

 寝汗でべたついた背中に抱き着き、唇を寄せる。
 目の奥が痛い。
 自分の吐く息が酒と煙草の混じった変な臭いで不愉快だった。

 起きる気配のない先生を仰向けに転がして、私と同じく何も身に付けていない先生のものを口に入れる。
 私の味と、ほのかに精液の味がする。
 熟睡していたって反応は早い。
 精液で十分潤った割れ目を左右に開き、上に乗って腰を落とした。

 レイナも、こんな女だったのだろうか。

 レイナはどんな風に喘いだんだろう。
 想像しながら、熟睡を続ける先生の上で無茶苦茶に腰を振った。

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