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泡のように
第14章 13.
メールしたら、すぐに行くと返信があった。
お兄ちゃんの車の影。校舎と校庭からは死角になっているが、もし誰かに見られたら2学期から面倒なことになりそうだ。
憂鬱な気分でお兄ちゃんの足元に汗かきながらしゃがんでいると、秋芳先生がやや緊張した面持ちで階段から駆け下りてきたのが校舎エントランスのガラス扉の向こうに見えた。
二人はごく在り来りな社会人らしく、互いに教員としてごく「まともな」挨拶を交わしていた。
先生はごく当然のこととしても、お兄ちゃんが他人に笑顔を浮かべているところなんて初めて見た。
「お忙しいのにすみません」
「いえ、こちらこそ・・・その・・・・」
どうしたらいいのか、という表情で先生は私を見る。
でも、私にだってどうしていいのか分からない。
「妹から聞いてます」
口ごもる先生を前に、お兄ちゃんは言った。
一見するとなんてことない発言だけれど、しかし、お兄ちゃんとわたしのすべてを知っている先生は戦慄を覚えたのか表情を強ばらせていた。
一体どうなるんだろう。
固唾を飲んで二人を見上げる。
お兄ちゃんの車の影。校舎と校庭からは死角になっているが、もし誰かに見られたら2学期から面倒なことになりそうだ。
憂鬱な気分でお兄ちゃんの足元に汗かきながらしゃがんでいると、秋芳先生がやや緊張した面持ちで階段から駆け下りてきたのが校舎エントランスのガラス扉の向こうに見えた。
二人はごく在り来りな社会人らしく、互いに教員としてごく「まともな」挨拶を交わしていた。
先生はごく当然のこととしても、お兄ちゃんが他人に笑顔を浮かべているところなんて初めて見た。
「お忙しいのにすみません」
「いえ、こちらこそ・・・その・・・・」
どうしたらいいのか、という表情で先生は私を見る。
でも、私にだってどうしていいのか分からない。
「妹から聞いてます」
口ごもる先生を前に、お兄ちゃんは言った。
一見するとなんてことない発言だけれど、しかし、お兄ちゃんとわたしのすべてを知っている先生は戦慄を覚えたのか表情を強ばらせていた。
一体どうなるんだろう。
固唾を飲んで二人を見上げる。