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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
『ぁ、あっ、ああん……っう、ぐ……!ふぁああ!』


誉は机の上に置いた両手を固く握る。

体が言う事を聞かない。
ブクブクと泡立ちながら、絶頂に向けて強張って行ってしまう……


「……誉」


不意に夜光の匂いーーーあの柑橘類の香りに汗が混ざった妖艶なーーーが鼻をかすめたと思ったら、さらりと誉の顔のそばで藍色の髪が揺れた。

しっとりと湿った彼の低い声が、耳元に囁くーーー


「…………イけ」




短いその二文字の言葉が、誉を解放した。
すでに壊れかけていた、誉の中でドロドロに溜まった性のダムの堰が崩れる。

あとはただ本能に身を委ねるだけ……


『ぃ、イくっ!ぁアアあああああっ!!』


誉は一層高らかに鳴いて昇った。


ガタタッ、


一瞬で頭が真っ白になって、立てていた肘が崩れて机の上のものが乱れても、何も感じない。

吹き出しほとばしる欲の飛沫に、後悔や引け目を感じることも無いのは何時振りだろう……
体中を巡る甘い痺れが心地いい。

ずっと余韻に浸っていたい……


「えらく大袈裟にイったな……誉。賭けはお前の勝ち、俺の負け……貞操帯生活は今日で終わり。久しぶりに快くイけた感想はどうだ?」

『ぁっ……ああ……すご、い……です』


そんな簡単なことしか言えない、でも本当にすごいのだ。

難しい言葉なんていらない。

誉はちらりと、床に無造作に転がっている貞操帯を見つめる。
もう熱を塞がれた生活をしなくても良いのだ……

そう思うと、誉の女の芯は喜びに震えた。
早く抱いてほしい、と。

だけど……


「さて……」


ズルリと肉棒を引き抜いて、夜光は自分の衣を整えると、だらりとする誉を抱き起して彼女の乱れた衣を整える。

えーーー?


「そろそろ架音が買出しから帰ってくる時間だ。お前には夕餉の準備が待っているし俺にも仕事が残っている……今夜はお前が満足するまで抱いてやるから、あともう少し待て」


夜光はぼんやりと呆ける誉に、仕事に戻れと言う。
時刻はまだ夕方、それも無理もないかもしれないけれど、今の私は言うことを聞けなかった。

メラメラと熱が体を回って、外側に向かって暴れているのだ!

夜まで待つ?

そんなの……


我慢できない。

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