この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
藍城家の日常
第5章 謎の黒兎の瞳も赤


と。


「待て」


事の流れが、夜光の短い言葉で止まった。


『……!』


(……あれ……夜光様、少し怒ってらっしゃる?)


一見彼の表情は変わらないようで、微妙に違う。
特に眉間の皺が何となく寄って、口元はいつもより若干きつく結ばれている。

夜光の表情を、誉はここ半年で見分けられるようになったようだ。

無表情の微妙な匙加減で、怒っているのか、機嫌が良いのかなんとなく分かる。


「……俺がやる」

『え?』


誉はほけ、とした。
夜光は澄ました顔をしている炎鬼を黙ったまま睨む。それはもう、視線で射殺そうとする勢いで。

ピリピリとした空気。
気付けば何だか険悪な雰囲気?


「……だから、俺がやる。来い」

『あっ!』


夜光にガシッと腕を掴まれて、そのままずるずると誉はされるがままに連れていかれてしまった。


「「「……」」」


玄関に残されたさんにんーー炎鬼と架音と謎の女は顔を見合わせる。

目の前にいる客、それは
夜光の愛人かもしれない女ーーー

沈黙の中、とりわけ炎鬼は複雑な気持ちで、色々尋問したい衝動に駆られていたが、とりあえず一件落着?

後はどうにでもなれ。

もしも誉がそれで傷付ついたとしたら、俺がその分癒してやる。

だから、ふたりに話し合う時間を作ろうと架音と作戦を練ったわけだが、夜光は本当に計画通りに動いた。

本当にあの男は嫉妬深い。いや……それだけ愛があるのかもしれないが……

架音はぼうっとする炎鬼に向かってウインクをした後、


「ま、とりあえずあがってゆっくりしなよ」

「え」


ものすごく友好的に女を屋敷に迎え入れた。

その女、屋敷に入れるのか?
疑いの眼差しを送る炎鬼を尻目に、架音は知らん顔だ。


「あんたの好きな茶菓子も、ちょうどあるからさ」

「……うん」


迎えられた女は口元を僅かに上げて、笑顔とは言えない微妙な表情を浮かべた。


「……ここに、用、あったから……」


初めて聞く女の声は鈴が鳴るような儚い音だった。


/156ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ