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藍城家の日常
第1章 私の旦那様
(約束を守らなかった私が悪いのだ……)


誉は涙で濡れたまぶたを伏せる。
腕を頭の後ろにある柱に拘束され、膝立ちのまま。
この状態で半日が過ぎてしまいそうだ。

先程まで誉の中で動いていた陰茎形のからくりも、やっと振動を止めた。

恐らく巻いたゼンマイが終わったのだろう。


(もう動かない)


止まれば、それはただの挿入された異物に過ぎなくなる。

それは安心と同時に、じわじわと大きな虚無感を与えた。
物足りない、そう思ってしまう。
消えた無機質の振動がもう恋しい。

じゅわりと芯が疼く。
少しでも快楽を得ようと腰が無意識に動く。

ぐち……っと、粘りけのある音が微かにする。


(私はなんていやらしいのだろう……。さっきまで、早く止まることだけを願っていたのに……)


『うぅ……っ』


日が暮れ始めて薄暗い部屋、
障子から差すオレンジ色の日射しに空気中の埃がキラキラと光っている。

耳をすましても、自分の吐息しか聞こえない。
誰もいない部屋でただひとり……


(夜光様……)


あとどのくらい縛られていれば私は許されるのでしょうか……

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